特定の形式にスポットを当て、その形式のバリエーションや年代別の改造、更新などを写真で解説し、鉄道模型ファン向けに重きを置いた鉄道車輌ガイド 国鉄客車シリーズの第6弾国鉄急行用客車の決定版12系客車の後編として、JR化以降を取り上げます。
12系客車は1969年、大阪万国博覧会を翌年に控え、各地からの団体輸送、臨時列車の運転を見据えそれまで、戦前・戦中型の旧型客車で運行されていたこれらの列車の近代化を推し進めた車両です。
万博後には北海道以外の各線区の急行列車に投入されましたが、1980年代に入ると急行列車の廃止、特急列車への格上げが相次ぎ、その活躍の場は徐々に狭められていきました。
一方、国鉄当局は、JR化へ向けた改革の中で、従来にない旅行商品の開発の模索をしていました。その中で、国鉄時代から親しまれていた「お座敷列車」の更新と、それらの団体利用客を対象に洋式・欧風客車による旅行の展開を計画しました。その改造対象車として白羽の矢が立ったのが本来は急行列車用の12系客車でした。
『鉄道車輌ガイド vol.36 12系客車(上)』では、12系客車の登場から国鉄末期までに改造されたジョイフルトレインを対象に取り上げました。今号では、JR以降に登場したジョイフルトレインのほか、イベント用客車、そのほかSl列車や各地の観光路線で活躍するトロッコ列車、更には私鉄にわたり、最後の活躍を続ける12系まで、それら車輌の姿を紹介していく内容です。また各列車の代表車両形式の図面を描きおろし、車内写真と共に模型資料に欠かせない内容の本です。