国鉄の事業用客車のうち救援車に次いで両数の多かったものが配給車で、駅や事務所・工場など各現場で必要な資材や備品を定期的に巡回・供給するほか、職員や家族の生活に必要な物資・日用品を積んで巡回する「物資販売車」の役割も担っていた。
配給車に「ル」という形式称号が与えられた1953年当時は大半が木造車であったが、1956年以降は鋼製客車からの改造が増加、1965年末には100両に達した。しかし資材業務の合理化や自動車輸送への移行で急速に廃車が進み、1972年度末にはひとケタにまで減少した。本書では、あまり知られることのなかった国鉄配給客車の実態・役割について、多数の写真・図版を用いて紹介する。