既に280号を超える長い歴史の「RM LIBRARY」から、過去の傑作巻を2~3冊分まとめて復刻する「RM Re-Library(アールエム リ・ライブラリー)」。シリーズ22巻目は、RMライブラリー第127・128巻から「同和鉱業片上鉄道」(寺田裕一 著)を復刻いたします。 岡山県の鉱山の町・柵原(やなはら)から瀬戸内海に面する片上(かたかみ)までを結んだ33.8kmの路線で、全通は1931年のこと。柵原は硫化鉄鉱の産地として知られ、硫黄の原料として主要な工業で重宝された時期がありました。実際、この片上鉄道も昭和19年度の貨物輸送量が全国の私鉄で10位に入るという、非常に貨物輸送のウェイトの大きい鉄道であったと言うことができます。昭和30年代には旅客・貨物輸送共に充実した絶頂期を迎え、この規模の鉄道としては大型の気動車のほか、機関車牽引の客車列車も名物として運転されていました。 その後産業構造の変化で最初に貨物輸送が終焉。旅客だけで残されたものの1991年に廃止となりました。逆によくぞ平成初頭まで生き残ったとも言え、懐かしく思い出す方も多いことでしょう。 本書では、路線の成り立ち、各施設や車両の紹介などは当然として、著者が1970年代から何度も通って実体験してきたこの鉄道の息遣いが伝わるような記述が特徴となっています。資料としても読み物としても保存版と言うにふさわしい一冊です。