既に280号を超える長い歴史の「RM LIBRARY」から、過去の傑作巻を2~3冊分まとめて復刻する「RM Re-Library(アールエム リ・ライブラリー)」。シリーズ25巻目は、RMライブラリー第13・41巻から「東野(とうや)鉄道・上武(じょうぶ)鉄道」(髙井薫平 著)を復刻いたします。 「東野鉄道」は、初出時は「東野物語」というちょっと洒落た書名(読み方が違いますが「遠野物語」からの連想で…)で世に出た一冊。栃木県北・東北本線西那須野駅から非電化の路線を延ばした鉄道で、特に模型ファンには津軽鉄道から譲渡された箱型の2輌のDL(DC20形)で知られた存在でした。その風情や規模感はモデラーが理想とする地方私鉄の在り方に限りなく近い…と言っても過言ではありませんでしたが、1968年に51年間という短い生涯を終えました。会社自体はその後も長くバス会社(東野交通)として存続していましたが、それも近年他社との合併によって消滅してしまっています。 「上武鉄道」の方も初出時は「日本ニッケル鉄道」という、非常にユニークな鉄道名を書名にしていました。その名から想像がつく通り、日本ニッケル株式会社の専用線がそのルーツで、八高線丹荘駅からさほど長くはない路線を延ばしていました。戦後すぐの時期に一般営業を開始して通称「日本ニッケル鉄道」となり、その後本体から分離された際に上武鉄道という名に改められています。一般営業を開始した後も本質は専用鉄道そのもので、駅に入るには工場の受付にその旨を告げる必要があったり、非常に特殊なままに終始したと言います。1972年に人知れず旅客営業を廃止、その後貨物営業のみで意外に長く1986年まで存続しました。 本書ではこの2つの北関東の知られざるローカル私鉄を二等分に取り上げた構成となります。路線・沿革から歴代の在籍車両の解説まで、決定版と言える一冊となっております。