既に280号を超える長い歴史の「RM LIBRARY」から、過去の傑作巻を2~3冊分まとめて復刻する「RM Re-Library(アールエム リ・ライブラリー)」。シリーズ23巻目は、RMライブラリー第87・88巻から「戦後生まれの私鉄機械式気動車」(湯口 徹 著)を復刻いたします。 機械式気動車と言うのは自動車で言うマニュアルミッション式とほぼ同じ構造で、クラッチペダルとシフトレバーを用いて変速するものです。シンプルなところがメリットですが、その機構上、総括制御に向かず、2両以上での編成運転の場合には動力車ごとに運転士が乗務する必要があるなど発展性に限界のあるものでした。
日本の気動車の歴史は小規模な運転から始まり、第二次大戦前までに機械式としての技術は一旦ほぼ完成しましたが、戦時中には燃料の入手難により一旦日本での気動車は壊滅状態となります。戦後の復興の中、戦前型機械式の再生産に近い新製と、電気式・液体式といった総括制御に向く新方式の模索が始まり、結果的に機械式気動車は1960年代初頭を最後に新製されることはなくなったのです。
本書ではその戦後に製造された機械式気動車のうち、私鉄(北海道簡易軌道や札幌市電は除外)に導入された計56両について北から順に紹介。ほぼ国鉄型に準じたもの、軽便鉄道が最後の輝きとして放った新型車両、出どころがかなり不思議な魑魅魍魎的な車両…と、様々なバリエーションがあり、興味が尽きることがありません。