1950年代の日本では、米国発祥の高性能な路面電車「PCCカー」の技術を応用し、防音・防振を考慮した「無音電車」と呼ばれる車両群が次々に製造されました。その採用例は公営鉄道が多数でしたが、一部の民営鉄道でもその技術に着目し、先進的な路面電車や発展形としての郊外電車が誕生しました。なかでも航空機技術を取り入れた張殻車体の超低床車である東急玉川線デハ200形や、中空軸カルダン駆動を採用した連接車・西日本鉄道福岡市内線1001形・1101形など、技術的に特筆される車両がこの時期に多数生み出されました。今号ではそれら民営鉄道での展開例や、公営鉄道でも前回紹介しなかった吊掛駆動の車両を解説します。
主な内容●カラーグラフ 民営鉄道の高性能路面電車●民営鉄道の「無音電車」 土佐電気鉄道500形●大手私鉄軌道線の間接自動制御/カルダン駆動採用の高性能車 西日本鉄道 福岡市内線1001/1101形・東急玉川線デハ200形・ 南海電気鉄道 大阪軌道線モ501形●吊掛駆動の「準・高性能車」 横浜市交通局1500形・名古屋市交通局1800形・ 京都市交通局800形/900形・大阪市交通局2201形 東武鉄道日光軌道線200形・北陸鉄道2300形●「無音電車」の制御装置/制動装置/台車●「無音電車」の功績と課題●米国PCC車より発展した私鉄高速電車 帝都高速度交通営団丸ノ内線300 形・阪神電気鉄道5001 形●「無音電車」規格を鉄道線直通車に応用した広島電鉄 広島電鉄550形(551号)・2000形・2500→3100形