小湊鐵道は千葉県の五井~上総中野間39.1kmを結ぶ非電化私鉄で、1917(大正6)年に創設、1928(昭和3)年に現在の区間が開通しました。当初は房総半島を横断し安房小湊までの路線が計画されましたが、上総中野で国鉄木原線(現・いすみ鉄道)と連絡することで鉄路での房総横断が実現したことから結果的に同駅が終着駅となり、およそ1世紀が経過しました。首都圏近郊ながら風光明媚な景色の中を古風なディーゼルカーが走る、いわゆる「写真映えする」路線としてSNS全盛の今日改め人気を集めています。キハ200形と呼ばれるおよそ60年前の気動車が主力として活躍してきましたが、近年は観光列車「房総里山トロッコ」の運転やJRのキハ40形気動車を譲り受けるなど、新たな話題で注目を集めています。本書288巻ではおよそ一世紀におよぶ会社創業からの小湊鐵道の路線の生い立ちを中心に、各駅の様子や国指定登録有形文化財に指定された建造物なども紹介します。また、近傍に戦前まで存在していた茂原~奥野間の南総鉄道も含めて紹介します。
目次はじめに1.小湊鐵道のヒストリー 1.1 大正期以前の房総半島鉄道事情と小湊鐵道の開業y 1.2 上総中野―小湊間延長断念および幻の新線計画 1.3 開業から昭和戦前、戦中期までの状況 1.4 戦後の動向 気動車増備と形式統一化2.施設のあらまし3.運行と列車の変遷4.南総鉄道 4.1 南総鉄道小史 4.2 南総鉄道の車両路線・沿革編のおわりに