豊橋鉄道田口線(本長篠~三河田口間22.6km)は、愛知県東部の奥三河地域に1932(昭和7)年12月、「田口鉄道」として全通した創業以来の電化路線(軌間1,067mm)で、後に戦時買収により国鉄飯田線の一部となった豊川鉄道・鳳来寺鉄道の姉妹会社であり、両鉄道が国有化された後も車両の直通運転が長年続けられた。
鳳来寺への参拝客輸送や木材の輸送で賑わったが、沿線住民の流出や自家用車の普及、森林資源の減少により旅客・貨物ともに下降線をたどり、1956(昭和31)年10月に名鉄傘下の豊橋鉄道と合併。しかしその後も施設の老朽化や水害による不通が重なり、バスに転換する形で1968(昭和43)年8月限りで全線の営業が廃止された。