かつて国鉄の現場を訪れると、構内の外れにいささかくたびれた客車が1輌、ポツンと留置されている光景によく出くわした。これが救援車である。災害や事故で本線が不通になると、復旧用の器材や人員を載せて、文字通り救援に駆けつけるのが使命である。反面、輸送が順調なら出番はなく、基地に留置されたままで数カ月から1年以上、全く動かないことも珍しくない。当然ながら、全車が改造車で、2度3度のお勤めを経て、廃車目前の古強者ばかりになる。種車は様々だから、形式は同じでも1輌ごとに外観はバラバラになる。救援車のうち、鋼製客車からの改造車に絞り個性ある車輌の魅力を紐解く本書、上巻では総論とともにスエ30、スエ31、スエ32、オエ36、スエ38、オエ61 0代を収録。さらに振替車についても解説する。