1927(昭和2)年、南武鉄道が川崎~登戸間の開業に際して用意した電車が、モハ100形である。 この全長15m足らずの小さな電車は、路線の延伸とともに増備され、最終的には15輌を数えた。 しかし、大戦下の1944(昭和19)年に南武鉄道が国に買収され国鉄南武線となり、戦後、 他線区から大型の車輌が転入すると、それと入れ替わりにモハ100形は全国各地の路線へと散って行った。 あるものは富山へ、あるものは岐阜・東濃へ、あるものは千葉・流山へ、そしてまたあるものは熊本へと、 その活躍は東北から四国・九州までの広範囲に及んだ。 本書はこれら全国各地に足跡を残した南武鉄道モハ100形の誕生とその後を辿るものである。