1926年に登場したモハ30形に始まる鉄道省の半鋼製電車は、その後、改良を重ねつつ続々と増備が続けれられ、東京圏および 関西圏の国鉄の通勤輸送を支える存在となっていった。しかし、戦時下に入ると資材の不足などが深刻化し、ついに1944年には製作行程や資材を極限まで切り詰めた戦時設計のモハ63形が登場することとなった。 戦後は80系や70系といった新型電車が華々しく登場する一方、第一線で活躍を続ける戦前型の国電もグローブベンチレータ化を はじめとする更新修繕が進められ、その姿を大きく姿を変えていった。 本書は上中下巻の3巻に分け、戦前型の国電について、まだグローブベンチレータ化以前の原型に近い姿で活躍していた、1950年代の 姿をまとめるものである。上巻ではそのはじまりともいうべきモハ30形などを収録する。