佐藤魁 / 和光大 / 森園海斗 / 武藤龍寿 / 石川拳大 / 小林直海 / 中村光貴 / 笹子夏輝 / 間屋口峻英 / 大橋海人
サーフィンが楽しくて、ライバルたちに負けたくなくて、世界を舞台に輝きたくて、サーフィンを磨き続けてきた。あらゆるスポーツがそうであるように、競うというのは自分を駆り立て、成長を促すとても大きな要素となる。そして、各地を転戦する間に芽生えた友情や、やりたいことを応援してくれる家族、自分を信じて支えてくれる仲間や会社との関係も、人生の宝だ。でも、日本におけるサーフィンは、たとえ国内トップクラスであったとしても、賞金だけで食べていくのは難しい現状にある。海外のコンテストに継続して出場するのも生半可なことじゃない。そして、きらきらと夢を見つめてきた少年たちは、経験を重ねるにつれて現実とも同時進行で向き合うようになっていく。ネガティブなことを言いたいのではなく、それはサーフィンに限らずほとんどのエキスパートが出会うごく自然な岐路であり、新たな旅路の始まりである。決して得てきた経験が色あせるものではない。
サーフィンという文化は、いつの時代も2つの個性がぶつかり合い、高めあうことで歩みを進めてきた。競技としてのサーフィンと、表現や生き方としてのサーフィンだ。プロサーファーがプロとして認められる在り方は、果たしてコンペティター一択だろうか? 心のおき方次第で、どちらも鼓舞できる限られた才能たちと捉えることはできないだろうか? もっと見たい。高いレベルで「自分らしさ」を示せるサーファーたちが、表現者としてもその能力を発揮し、羽ばたいていく姿を。その道標が増えるほど、2つのサーフィンはどちらも輝きを増すだろう。これからがますます楽しみな10人の才能たちに声をかけ、尋ねてみた。その現在地とこれから。
自分らしさは競えない。でも、ゆずれない。