戦後にかけ多くが残留していた戦前型国電。一方、復興とともに日々拡大する通勤輸送。それに応えるため、これら戦前型国電に不足する車輌を補ない、混結を前提とした新形式として1951(昭和26)年に3扉セミクロスシートの車輌として誕生したのが70系電車です。
前年に登場した湘南電車80系と共通の前面デザインやツートンカラーなど、兄弟形式のように思われる側面もありますが、その性能や構成面では大きな違いがありました。
製造輌数においても既存の戦前型国電の実形式ごと補うように製造されたため電動車数と制御車数はリンクしておらず、中間付随車も製造されていないなど、同時期の80系とは明らかに違う車輌陣容・仕様となっていた車輌70系電車はその最末期まで他系列との混結が続き、興味の尽きないところです。
本書では70系電車に加えて、各地で活躍した同車の姿をカラーグラフで紹介するほか、形式ごとの写真と解説は勿論のこと、共に連結されていた車輌群の紹介および編成事例も網羅。このほか全在籍車輌の車歴簿も掲載。70系を観察、知るうえで必携の一冊となっております。