ここに掲載しているエンジンはM97-77型。水冷水平対向エンジンの第二作目だが、その誕生の歴史には長いストーリーがある。レーシングフィールドでも空冷エンジンで戦っていたポルシェは、耐久性を確保しつつ性能追求していくなかで、まずはシリンダーヘッドに水冷化を施すが、ライバルの更なるパワーアップに対抗するためにシリンダーヘッド/シリンダーブロックの両方が水冷化されたレーシングエンジンを完成させていた。最初に911シリーズで水冷化されたエンジンの型式はM96-01/02型といって、それは "知恵の塊" に満ちたものだった。なぜ2機のエンジンをほぼ同時に作る必要があったのか、弱点を補強すれば、M96-01/02型をGT3やターボそしてGT2に搭載することは詮無いことではなかったはずだ。それはMA102/101型をベースにしたMA175型がGT3に搭載されている現状を鑑みても理解できる。GT1クランクケースはそれほど偉大なのだろうか?そのGTIクランクケースを使って、レーシングエンジンを市販エンジンにまとめ上げなければならないほど、M96-01/02型は "使えない" エンジンだったのか。M96-01/02型を分解してみれば、いろいろなことが見えてくるはずだ。新エンジン発表後、わずか1年でハイパフォーマンス用のエンジンを発表/搭載したポルシェ。だが、M96-01/02型はcarreraには搭載され続けている。両方のエンジンを分解して、その構成パーツを視ていくうちに、M96-01/02型に抱いていたネガティブな視点は改められていったのだった。
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