こと日本という国においては、外来語がその本来の意味で定着することはまずない。例えば近年では「セレブ(セレブリティ)」という言葉が輸入され、日本では「お金持ち」という程度の意味で用いられているが、本来は、有名人や名士を指す単語である。それに似た例が、バブル期に隆盛を極めた「ハイソカー」という名称だろう。ハイソカーとは「ハイ・ソサエティー・カー」の略、ハイ・ソサエティとはそもそも上流階級という意味であり、貴族などの特権階級や、そうした身分制のない国における大富豪を示す語句である。後ろに「カー」が付く用法が存在するとすれば、それはロールスロイスのようなクルマを指す言葉のはずだ。しかるにハイソカーとは、マークⅡやクレスタなどの、「一億総中流」意識に満ちた豪華者を呼ぶ言葉であったのだから、何をか言わんやである。しかし、そんなハイソカーも今では幻のような存在となってしまい、思いせば懐かしくてならない。今回はそうしたハイソなモデルカーを味わってみよう。
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